吉川健明さんにレイバーネットの記事をなんくるブログにも寄稿して頂きました。
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星野文昭さんの獄死を問う国家賠償請求訴訟第三回口頭弁論12月3日に開かれる。法務省弾劾デモも! 2020年12月3日、東京地裁で星野文昭さんの獄死を問う国家賠償請求訴訟の第三回口頭弁論が行われ、星野さん虐殺の張本人である法務省に対する弾劾行動が行われました。
星野文昭さんは、昨年(2019年)5月肝臓がんの手術の失敗で東京昭島の成人矯正医療センターで亡くなりました。享年73歳。星野さんは、1971年の沖縄闘争のデモを闘い、その衝突で亡くなった警察官の殺人の罪をでっち上げられ無期懲役の刑で1987 年から徳島刑務所にいました。
一昨年2018年から体調を崩して、体重減少と食欲不振が半年以上続いたのに徳島刑務所は十分な検査をしませんでした。夏に腹痛発作で倒れても、10月に胃カメラ検査をやって胃炎としかわからなかったのに広範な血液検査も腹部エコー検査もせず放置し、2019年2月に肝臓機能の異常が、ようやく行なった血液検査でわかり、3月1日の腹部エコー検査で肝臓腫瘤を認め、腫瘍マーカーで肝臓腫瘍の疑いを確実にします。この時徳島刑務所の医師は、カルテに「p CT必須」(pは、plan方針のこと)と明記し、直ちにCT検査をすべきとわかってました。ところが徳島刑務所は、文昭さんに検査結果の告知もせず、また精密検査と治療を外部医療機関に頼むこともしていません。文昭さんがCTなどの検査を受けられたのは4月17日に東京の医療施にきてからです。その間47日間もあります。普通に考えてがんが大きくなったら大変です。その間実は、文昭さんは、四国地方更生保護委員会による仮釈放の審議中でした。受刑30年を越した文昭さんは無期懲役といえども仮釈放されるべきですが、その審理が大詰めをむかえていました。心身の状況は、仮釈放の要件となります。ところが徳島刑務所は、文昭さんの体の状況も肝臓癌かもしれないことも文昭さんにも家族にも弁護団にも告知しないばかりか、この更生保護委員会にも伝えてなかったことが国側の準備書面(訴状を受けた国の答弁書)より明らかになってます。これ自体重大な法令違反ですが、さらに更生保護委員会がこの事実を知ったばあい、当然仮釈放実現に向かうのが普通です。そうすれば文昭さんのがんの治療と療養の幅が広がったでしょうし、センターでの無茶な手術も避けられ、命が助かった可能性も大きいのです。ところが徳島刑務所と法務省は事実を隠し続け、更生保護委員会は仮釈放不許可にしてしまいます。そして、肝臓内腫瘤発見から遅れに遅れ47日間も経ってから文昭さんは医療センターへ移送されます。
2月に訴状を提出し、その後コロナ禍の影響で裁判は延期されてきましたが、6月に第一回口頭弁論が行われ、その後、国側準備書面が提出され、先程の更生保護委員会へ文昭さんの健康状態を告知しなかったことも国側準備書面で初めてわかりました。8月に第二回口頭弁論が行われ 原告は求釈明を行い、この魔の47日間に徳島刑務所が何をしたかを追及しました。当初被告の国側は誤魔化そうとしましたが裁判長にも促され、答弁書を提出しましたが、この間何もしてないことが暴露されただけでした。そして満を待して、今回の準備書面が出され、第三回口頭弁論が開かれました。
この裁判の争点は大きく二つあります。一つが先に述べた徳島刑務所での診断の遅れと検査結果を知らせず、精密検査が遅れたことです。そしてもう一つが東京昭島の東日本成人矯正医療センターにおける医療過誤の問題です。
センターにおいて、星野さんは、手術は受けられましたが、術後集中治療室にもいれられず、夜間十分な術後ケアを受けられませんでした。文昭さんの連れ合いの暁子さんが「集中治療室に何日いるか?」と質問したら「2〜3日」と答えてます。しかしその集中治療室は名前も回復室で、専任の医師も看護師もいない名ばかりのものだったのです。おまけに文昭さんは、術後出血性ショックを起こしていたのにそれに対する十分な手当を受けられてません。それどころか夜間一時から五時まで、ショック状態にあるのに血圧も尿量も測定記録されていないのです。このことを訴状で追及すると国側はこの一時から五時まで刑務官が20分に一度巡視しているから問題ないと準備書面で開き直ったのです。刑務官でもいいから測定記録してさっさと医療チームを呼び出して救急処置をしてほしかった。翌朝発見された時はもう手遅れだったのです。肝臓を切除する大手術をしておいて、術後、当直医を残して帰ってしまい、十分なケアもせず、血圧も尿量も測定記録せず何時間も放置するなんて酷いじゃないですか。
星野文昭さんは、こうして十分な検査も治療も受けられず獄死させられてしまいました。大変悔しいことです。こんなことを獄中とはいえむざむざと許しておくわけにはいきません。今世界中でコロナ大流行と大恐慌の中、労働者が生きれなくなってます。その中で、ヨーロッパでもアメリカでも労働者の闘いが始まり、アメリカトランプはとうとう打倒されました。その中心を担ったのがBLM運動。black lives matter (黒人の命は大事なんだ)という公民権運動以来の大運動です。香港でも闘いがありますが、あろうことか香港政府と習近平は、若きリーダーの周庭さんらを扇動罪で実刑にに処してます。こうした世界中の労働者の闘いに対する弾圧の酷さは他人事でないと思います。
私たちはHoshino lives matter(星野文昭さんの生命は大事なんだ)とも言いたい。
この星野さんの医療国賠は、こうした世界中で闘われている労働者の闘いに対する弾圧を打ち破るための大きな裁判であります。そして、このデタラメな獄中医療の実態を暴いていく闘いです。さらに、今のコロナ大流行で医療崩壊にまで至っている日本の新自由主義化した医療への告発です。獄中医療のデタラメさは外の医療の腐敗・崩壊とつながっています。差別と格差、命の選別の横行を許さず、闘う医療労働者、患者家族とも連帯して医療を労働者の手に奪還する闘いと大きく連なっていると思います。12月3日の口頭弁論と法務省弾劾行動の翌日、夏にストライキを闘った船橋二和病院労働組合が冬の一時金闘争と現場への人員要求を掲げストライキを敢行し、厚生労働省要請行動も勝ち取っています。世界中の闘いと繋がって星野文昭さん虐殺の悔しさを倍返し三倍返し十倍返しして、必ず真相を暴き国に責任を取らせるこの国家賠償請求訴訟に勝利したいと思ってます。
東京地方裁判所へ提出する要望書へのご協力をお願いします。どうぞご注目を!!️