過労死防止

【アピール】過労死と格差を容認し、 無権利労働を拡大する安倍「働き方改革」に反対し、人間らしく働くルールの確立を求めるアピール


1 働き方を改悪する安倍政権の「働き方改革実行計画」
 安倍政権は、2016年6月2日閣議決定の「ニッポン一億総活躍プラン」で、「同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善」、「長時間労働の是正」などの「働き方改革」を打ち出し、その後10回の「働き方改革実現会議」を開き、2017年3月28日、「働き方改革実行計画」(以下「実行計画」という)を決定し、発表した。
 しかし、実行計画の内容は、「働き方改革」の名に反して、過労死と格差を容認し、無権利労働を拡大する「働き方改悪」そのものである。

2 過労死を容認する実行計画と私たちの要求
 実行計画は、時間外労働と休日労働をあわせて、「12か月連続80時間・1年960時間」、「単月では100時間未満」の残業をさせることを認めている。これは、「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間に1か月当たりおおむね80時間超」の過労死ラインの残業を容認するものである。しかも、実行計画は、自動車の運転業務、建設事業、医師、新技術、新商品等の研究開発の業務については、規制の5年間猶予・適用除外等の別取扱いを認めている。実行計画は、勤務間にインターバル時間(勤務間休息時間)を設けることを努力義務にとどめている。
 私たちは、過労死を容認する実行計画の残業の上限規制に強く反対する。私たちは、時間外労働と休日労働をあわせた残業の罰則付きの上限規制を「週15時間、月45時間、年360時間」とすることを要求する。自動車の運転業務、建設事業、医師、新技術、新商品等の研究開発の業務に対しても、すみやかに同一の上限規制を行うべきである。私たちは、時間外労働や休日労働の割増率を残業抑制の実効力をもつものにアップさせることを要求する。私たちは、始業後24時間を経過するまでに11時間以上の連続した休息時間の付与を義務づける「勤務間インターバル制度」を創設することを要求する。
 私たちは、高度プロフェッショナル制度の創設や企画業務型裁量制の拡大を定める労働基準法等「改正」案の撤回もしくは廃案を要求する。

3 正社員と非正規労働者の格差を容認し、固定化する実行計画と私たちの要求
 実行計画は、「同一労働同一賃金」について、「基本給や各種手当の決定基準・ルールの違いは、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして、不合理なものであってはならない。」としている。これでは、現状と同様、職務内容・配置の変更範囲などに違いがあることを理由にして、正社員と非正規労働者の格差を容認、固定化し、「不合理なものであること」の立証責任を労働者に課すことになる。実行計画は、このような考え方に基づいて、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正を図るとしている。
 私たちは、労働契約法20条、パートタイム労働法8条の不合理性の判断要素から「当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情」を削除し、労働条件や待遇の相違の合理性の立証責任を使用者に負担させることを要求する。
 私たちは、パートタイム労働法、労働契約法の改正にあたっては、「同一価値の職務に従事する労働者に対しては、同一の賃金を支払うことが原則であること」、「異なる賃金を支払う時は、その合理性は使用者が立証しなければならないこと」を明記することを要求する。労働者派遣法の改正にあたっては、派遣先の同種の業務に従事する労働者と派遣労働者の均等待遇を図ることを要求する。
 私たちは、性別や雇用形態などによる一切の差別をなくすため、労働基準法、男女雇用機会均等法、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法に、同一労働同一賃金原則と均等待遇原則を明記することを要求する。

4 貧困と格差拡大の最低賃金を容認する実行計画と私たちの要求
 実行計画は、「最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げて行く。これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す。」としている。年率3%程度の引上げでは、全国加重平均が1000円になるのは2023年である。時給1000円では、法定内労働時間の上限の年間2085時間(1日8時間で約260日間)働いても、208万5000円にしかならない。
 最低賃金の最高は東京都の932円、最低は宮崎県と沖縄県の714円で、両者の格差は218円である。全国各地の最低生計費は、ほとんど違いがない。最低賃金の格差は、低い地方から高い地方への人口流出をまねき、地域経済に悪影響をもたらしている。
 私たちは、全国一律の最低賃金制度を確立し、最低賃金を今すぐ時給1000円にし、時給1500円を目指すことを要求する。

5 無権利労働を拡大する実行計画と私たちの要求
 実行計画は、「多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求する」とし、さらには、「非雇用型テレワークのガイドライン刷新」など、非雇用型の働き方を拡大しようとしている。しかし、多様で柔軟な働き方は、低賃金不安定雇用である有期労働契約や派遣労働契約に明らかなように、労働者の権利を切り捨てることと不可分に結びついている。また、非雇用型の働き方は、労働者の権利をすべて奪う働き方である。
 私たちは、有期労働や派遣労働を臨時的・一時的な業務に限定し、「直接無期雇用の正社員が当たり前」の雇用社会の実現を要求する。また、働く人の使用者に対する使用従属性を見過ごすことなく、雇用の請負委託化の拡大、非雇用型の働き方の拡大に反対し、労働基準法、男女雇用機会均等法などの労働者保護法の厳格な適用を要求する。

6 連帯と共同のたたかいを!!
 以上のとおり、実行計画は、過労死ラインの残業を認め、正社員と非正規労働者の格差を容認、固定化し、貧困と格差拡大の最低賃金を容認し、無権利労働を拡大するものであり、とうてい認めることはできない。
 私たちは、全国の労働者、国民と連帯し、「週15時間、月45時間、年360時間」の残業規制、同一労働同一賃金、全国一律の最低賃金制度の確立と時給1500円の最低賃金、「直接無期雇用の正社員が当たり前」の雇用社会など、人間らしく働くルールの確立を求め、そのための共同のたたかいを呼びかけるものである。

  2017年4月26日

    許すな!!過労死と格差容認の実行計画
    安倍「働き方改悪」に反対し、働くルールの確立を求める4.26決起集会
       参加者一同

過労死ラインの上限時間を許すな!3.15緊急院内集会

平成28年度版 過労死等防止対策白書  厚労省

毎年11月は「過労死等防止啓発月間」です。 厚労省

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「高度プロフェッショナル労働制」に対する声明   過労死等防止対策推進全国センター


過労死等防止対策推進全国センター
代表幹事 森岡孝二、寺西笑子、川人 博
 
1 「高度プロフェッショナル労働制」とは
 厚生労働省に設置された労働政策審議会の労働条件分科会は、本年1月16日、①働き過ぎ防止のための法制度の整備、②フレックスタイム制の見直し、③裁量労働制の見直し、④特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制)の創設等を盛り込んだ報告書骨子案を示しました。
 このうち④は、「時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな労働時間制度」(骨子案)とされ、一定範囲の正社員を対象に、労働基準法の時間規制を外し、時間外・休日・深夜を含め残業という概念自体をなくすものです。これが導入されると、使用者は36協定を締結して時間外・休日労働を命じることなく、労働者を無制限に働かせることができるようになります。これは第一次安倍内閣のとき「残業代ゼロ法案」として強い社会的批判を受け国会提出が見送られたホワイトカラー・エグゼンプション法案の焼き直しにほかなりません。
2 成果賃金制度ではなく固定賃金制度であること
 時間ではなく成果で支払うといわれていますが、今回導入されようとしているのは、成果主義賃金とは別物の固定賃金制です。基準となる労働時間が決まっていて超過時間数に応じて一定の割増率で残業代を支払う現在の時間賃金制を否定して、あらかじめ決められた額しか支給しない固定賃金制に変えるものです。
3 対象業務の拡大の危険
 対象業務にはディーラー、アナリスト、コンサルタントなどが例示されていますが、実際は専門業務や企画業務が広く対象とされ、現在過労死等が多発しているIT産業のSEなども対象になる可能性があります。
4 年収要件の切り下げの危険
 年収1075万円以上という要件は「一部の高所得者だけが対象」との印象を与えますが、いったん導入されると政令でどんどん下げていくことが可能です。日本経団連は以前のホワイトカラー・エグゼンプションの提言では、年収400万円以上の労働者を対象にすると想定していました。今回の新制度についても、経団連の榊原会長は昨年6月時点で、「全労働者の10パーセントぐらいは適用される制度」にするよう要求しています。いったん制定されれば、年収要件が引き下げられていくことは必定です。
5 長時間労働・健康悪化の歯止めがないこと
 政府は「本制度の適用労働者については、割増賃金支払の基礎としての労働時間を把握する必要はない」としながら、新制度がいっそうの長時間労働を招く心配を否定できないために、新たに「健康管理時間」や「休息時間」などの長時間労働の防止措置を講ずると言っています。しかし、これらは実効性が疑わしいうえ、具体的な時間数については法案成立後に「審議会で検討して省令で規定する」とされ、過労死防止の歯止めになる保障はまったくありません。
6 働き盛りの30代、40代に過労死激増の恐れ
 高度専門業務に携わる労働者は、専門的・管理的職業従事者が多いと考えられますが、厚労省の過労死等の労災補償状況に関する資料によれば、専門的・管理的職業従事者のあいだでは、過労死・過労自殺が多発しています。2013年度の過労自殺(精神障害)に係わる労災請求では、専門・管理職が全体の26%(1409件中365件)を占めています。また、年収が1075万円以上の労働者の多くは30代後半から40代と考えられますが、この年齢層のホワイトカラーのあいだでは過労死と過労自殺が多発しています。
7 「プロフェッショナル労働制」導入に断固反対する
 私たちは、過労死をなくしたいという願いから過労死防止法の制定に取り組み、法制定後は過労死防止対策の推進に全力を尽くしていますが、この「プロフェッショナル労働制」は過労死防止法に逆行して過労死を広げるものであり、断固として反対するものです。
 
2015年2月5日
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