南部労組・福祉協会第11回団体交渉に参加して

11月11日に、南部労組・福祉協会第11回団体交渉に書記参加しました。
南部労組・福祉協会の団体交渉や都労委での調査では、ハラスメント問題が争点のひとつとなっています。組合側が出席を求めるA事務局長を協会が団体交渉に出席させないことから、この問題は都労委でも長期にわたる係争状態となっています。

そんな状況下での日本知的障害者福祉協会の就業規則案は、大変驚かされるものでした。
「職員は…上司命令に忠実に従って…職責を遂行するよう務めなければならない」
上司のハラスメントが労働組合との間で紛争化している状況で、「上司命令に忠実に従って」とわざわざ就業規則に明記する事業所が他にあるでしょうか?福祉協会は外部からどう見られるかを意識しないのでしょうか?これでは協会がハラスメント問題に積極的に取り組む姿勢がないことを自ら示していることもなってしまいます。他者の視点を持たない運営は独善的ですし、組織のリスクマネジメントの観点からも大問題です。協会のリスクマネジメントについて疑問に思うことは他にもありました。また、労働安全衛生活動に関しても疑問が多々生じました。

最後にオブザーバーとして参加した私に、組合側から発言の機会が与えられました。
A事務局長は東京都社会福祉協議会知的発達障害部会総会で、国の障害福祉政策の動向についての情勢報告をされています。A事務局長が団体交渉に出席せずに争議が長期化していることを知る人が東社協会員施設にも増えている中で、A事務局長の総会報告は日本知的障害者福祉協会のイメージダウンではないかと、私は発言しました。そして、「協会にはどうか建設的で実質的なハラスメント対応をしてほしい」とお願いするところでしたが、協会側出席者は揃って「時間がないから」と慌ただしく退席して行ったのがとても残念でした。

「自分たちがどうしたい」が福祉の仕事ではありません。私たち福祉従事者の行動原理は人権思想や社会福祉思想の国際的発展の上にあります。自分の勤める組織の論理ではなく、ソーシャルワークの倫理綱領、障害者権利条約などを知らずに福祉の仕事はできません。福祉協会同様、社会福祉法人同愛会東京事業本部ではそれらよりも組織論理が優先され、「東京一幸せなるよりどころ」などと、ソーシャルワークとは程遠いキャッチコピーが堂々と掲げられています。他者の視点が欠落したようにしか見えない福祉協会の姿勢は、同時に私たち同愛会の問題でもあるのです。社会福祉って、障害福祉って、対人援助って何だろう?そして、知的障害福祉の専門職団体のあり方とは?南部労組・福祉協会の団体交渉に参加するたびに、色んなことを考えさせられます。日本知的障害者福祉協会にも考えてほしいと、切に思います。(林)

これまで参加した団体交渉
第5回団交 その1 その2
第7回団交 その1 その2