(吉川さんにレイバーネットへの原稿をなんくるブログにも寄稿してもらいました。)
星野国賠訴訟 第二回口頭弁論開かれる。
 
  星野文昭さんを取り戻そう 東京連絡会 吉川健明

 先日8月27日、東京地裁にて、星野文昭さんの獄死を許さない国家賠償請求の第二回口頭弁論がひらかれました。1971年11月14日、沖縄返還協定粉砕闘争のデモが渋谷で闘われ、その時警察官一名が死亡しました。星野文昭さんは、そのことで殺人罪をでっち上げられ、無期懲役の刑を受け、44年間も獄中にいました。昨年、肝臓癌であることがわかり、東京の昭島の東日本成人矯正医療センターで摘除手術を受けましたが手術が失敗し無念の死を遂げました。その責任を追及する国家賠償請求訴訟を文昭さんの意志を継いだ妻の暁子さんら家族が徳島刑務所と東日本成人医療センターを相手に起こしています。
 裁判は午前10時半からはじまりました。6月の第一回口頭弁論で、国の違法行為を弾劾してきたことに対する被告国側の反論が準備書面という形で8月初めに示されていました。国の準備書面は訴状に対するケチ付けと揚げ足取りに終始し、国賠法一条一項の違法行為に当たらないと強弁するだけのもので、星野さんがなぜ亡くなったかも明らかにせず、お悔やみの言葉一つのべない不誠実なものです。
 2018年8月に文昭さんが腹痛をおこして倒れたことを「転倒した事実はない(カルテなどの記載がない)」という愚にもつかない詭弁を弄するだけで、検査が遅れがんの発見が遅れた責任を塗り隠そうとしてるのです。
 この日、弁護団は、準備書面に対する求釈明を一つ行いました。昨年、2019年3月1日、ようやく行った文昭さんへの腹部エコー検査で肝臓に腫瘤が発見されたのに、本人にも家族にも弁護団にも隠し、さらに当時文昭さんの仮釈放の審理を行っていた四国更生保護委員会にも文昭さんの体調のことを知らせませんでした。
 この3月1日から4月18日の47日間、文昭さんが東京昭島の成人矯正医療センターに移送されるまでの間、何が行われていたのかを弁護団は追及しました。
 この裁判は文昭さんの無念を晴らすための医療国賠であると同時に、新自由主義のもとで深まる医療の腐敗を暴く闘いでもあります。新自由主義のもと医療は露骨な金儲け主義、格差拡大、患者殺しを深めています。相模原事件や福生病院事件、京都での難病患者への医師による嘱託殺人など医療自体が新自由主義に屈服するなかで、獄中の医療もでたらめになってきています。
 今日のこのコロナ大流行と経済の悪化の中で、医療格差の拡大と患者殺しがますますひどくなる中、この星野文昭さんの医療国賠の成否はとても重要です。裁判は始まったばかりです。今後ともご注目を。