6月22日星野文昭さんの獄死・医療過誤を問う
第一回口頭弁論行われる。ー1ー
          
          星野文昭さんを取り戻そう東京連絡会 医師 吉川健明

6月22日、コロナ情勢で開廷が遅れていた星野文昭さんの獄死を問う国家賠償請求訴訟の第一回口頭弁論が東京地裁で行われた。梅雨の本降りも雨を跳ね除け裁判所の開門と同時に多くの人が傍聴券を求めた。

第一回口頭弁論は、まず星野暁子さんの意見陳述から始まった。裁判長も身を乗り出して聞き入る中、暁子さんは切々と文昭さんへの思いを語り、徳島での医療放棄、検査の遅れ、そして、医療センターでの術後の放置という動かしがたい医療虐待の事実を述べ、獄中医療の変革を訴えた。

 原告側の藤田主任弁護士は、訴状の要約を述べながら、文昭さんに2018年、数度にわたって面会していく中、みるみる痩せていったことを語り、徳島刑務所の対応の遅れを弾劾た。そして同時に進行していた四国地方更生保護委員会への仮釈放の申請で重要な文昭さんの健康状態についての刑務所側からの情報提供がなかったことを上げ、その不作為を弾劾した。さらに医療センターがおよそ巨大な肝臓がんの切除など高度の外科手術を行える能力がないのに手術を強行し、さらに術後の放置をしたことを簡潔かつ具体的に述べた。

 国、法務省は、2月に訴状が提出されてから何も反論を示せなかったが、先日、原告側に「棄却を求める。理由はおって通知する」という答弁書をだし、当日も8月7日までに追加意見書を出すことをようやく表明した。次回の裁判は8月27日午前10時半に決まった。

 第一回公判ののち記者会見が行われた。記者からは、星野さん以外の獄中医療の被害者について質問があり、北海道の月形刑務所で亡くなった受刑者でロックミュージシャンの遺族が国を訴えている例が紹介された。

 梅雨の強い雨を押して関東近辺から支援者が60名以上集まり、傍聴席もコロナ情勢を理由に制限される中、第一回の医療国賠公判が闘われた。裁判所の外では、雨の中街頭宣伝が行われ、国の不法を許さない怒りの団結が満ちていた。

 午後から総括の小集会が弁護士会館で行われた。4人の専任弁護士に加え、古くから星野さんの再審を支援してきた小林博幸弁護士が徳島刑務所の医療虐待を怒りを込めて告発した。傍聴できた支援者の感想が語られ、国賠ネットの土屋翼さんからは国賠訴訟の勝利の困難さについて訴えがあった。また別の支援者から刑事施設での医療虐待の例として、1975年に大阪拘置所で起きた鈴木国男さんの虐殺(抗精神病薬を注射され、その副作用で凍死しだ)とそれに対する国家賠償請求訴訟が勝利したこと語られた。刑務所医療がその時から変わってないと弾劾された。