42002cc0医療観察法を廃止しよう!全国集会

4月の日弁連シンポジウムのテーマだった法制審の社会内処遇。今回の集会はNPO法人サマリア理事長の黒田和代さんが、「法制審の『社会内処遇』の問題点とリーガルソーシャルワークの在り方を考える」と題して、罪を犯した障害者の支援について講演しました。黒田さんは支援プログラムの強制には意味がないと言います。起訴猶予段階での処遇プログラムの義務化が何の法的根拠にもとづくのか?憲法との関係はどうなるのか?など法律論からの問題提起ではなく、路上生活者や「触法」障害者など、当事者支援現場からの経験にもとづいたお話はとても分かりやすいものでした。黒田さんは児童福祉分野においても同様の手法が導入されようとしていると言います。児童虐待ケースなど、起訴前の被疑者に対して一定の約束事を課し従わなければ起訴するという、脅しによる再犯防止です。そしてそのプログラム策定に児童相談所が関与させられようとしているとのことでした。医療観察法が先鞭をつけた予防拘禁、保安処分体制は、「重大な罪を犯した心神喪失者」という枠を超えて、障害のあるなしに関わらず全ての人を対象にした治安管理体制へと姿を変えようとしています。

b5c893ca医療観察法経験者の方の手記が代読されました。印象的だったのは、医療観察法の処遇が終了して通常の通院治療になったにもかかわらず、通院先の医師から通院を強いるような電話を直接受けたという話です。いったん医療観察法下での処遇を受けたら、そのラべリングが処遇終了後もついて回ることの恐ろしさを感じます。そして、これは医療観察法だけの問題ではありません。やまゆり園事件の再発防止検討チームの答申にもとづき、措置入院解除後に当事者抜きの警察も参加する退院支援会議創設や、関係自治体への情報提供などが盛り込まれた精神保健福祉法改悪案を、政府は今後も国会に上程してくるでしょう。

日本社会福祉士会には、職域拡大ではなくソーシャルワークの倫理綱領にもとづいた明確な態度を示してほしいと思います。知的障害福祉に関わる私たちが、やまゆり園事件を精神医療・福祉の問題に押し付けて知らん顔することはもはや許されない状況です。社会福祉の理念自体が危機的状況です。同愛会東京事業本部がこれまでのようにソーシャルワーカーの倫理綱領など全く研修しないのであれば、私たちがその危機的状況に加担することになります。資料あります。大いなる関心をもって組合までご連絡を!(林)