930dcbedなくそう!差別と拘禁の医療観察法
11・26全国集会

一切の強制医療を許さないぞ!
医療観察法反対集会のデモで、私はそのシュプレヒコールを唱和しませんでした。指定病院の急性期病棟に勤めていた私は、隔離・拘束を含む強制医療を日々の業務としていたからです。強制入院反対の立場の集会なのか?法成立間もない医療観察法廃止全国集会で、そんな質問をしたこともあります。それから障害者を取り巻く社会状況は大きく変化しました。障害福祉は措置から契約へ。自立支援法違憲訴訟と原告団と国の和解。「私たち抜きに私たちの事をきめるな!」を合言葉に全国の障害当事者・団体が集まり骨格提言を取りまとめ、障害者基本法改正や差別解消法成立や雇用促進法改正を経て国連障害者権利条約批准。障害者権利条約はテレビ番組や書籍など様々なメディアで取り上げられ、日の出福祉園でも障害者権利条約をテーマにした支援学習会が開かれました。でも、一つすっきりしないことがくすぶっていました。

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「病者集団は障害者権利条約では一切の精神障害者への強制医療が禁じられていると言っているけど、果たして本当だろうか?」その疑問への答が、今回の講演「障がい者権利条約が求める精神医療福祉のあり方とそれに逆行する日本の精神医療福祉」でした。弁護士の池原毅和さんは、権利条約の条文とその解釈についての委員会の報告官の意見などを示して明確に説明しました。池原さんは条約の法的解釈だけでなく、「障害者権利条約の基本を支える人間観」という根本的な命題についても語りました。インテグリティーの説明で、条約第17条の「その心身がそのままの状態で尊重される権利」は、日本国憲法13条※1個人の尊重・幸福追求権に対応すると言います。

リレートークでは大阪精神医療人権センターから日本精神科病院協会のアドボケーターガイドラインの問題について、医療観察法国賠訴訟※2の原告団の内田弁護士と原告のご家族からのお話し、国連の恣意的拘禁に関する作業部会への通報を支援するために設立された精神医療通報センターの山本代表や10.27大フォーラムの実行委員会の方からのアピールなどがありました。集会後の交流会は、いつもながら参加者から活発な意見が出されました。集会参加者の平均年齢の高さが話題になりましたが、今回は当事者でもあり専門職でもある若い方も参加されていました。資料録音あります。大いに関心をもって組合までご連絡を。(林)

※1 来年3月に、あきる野市中央公民館主催市民企画講座でJDFの藤井克徳さんを講師に障害福祉の観点から憲法を考える講演会があります。憲法25条の生存権ではなく憲法13条を軸に障害福祉を語ってもらう予定です。
※2 医療観察法国賠訴訟は、知的・発達障害の方が訴えた裁判です。知的障害福祉分野で働く私たちがこの法の実態に無関心であることはもはや許されないと思います。単に私たちの仕事にも関わることだというだけにとどまりません。内田弁護士の話を聞いて、この裁判は、医療観察法成立時の表向きの理由に反して、この法の保安処分的本質を露呈させていると思いました。次回の裁判期日は1月17日第5回口頭弁論です。

これまでの集会