アムネスティ・インターナショナル日本HPより

2017年1月27日
[日本支部声明]

沖縄平和運動センターの山城博治さんが公務執行妨害などの罪に問われ、昨年10月17日に逮捕されて以来100日を超える。アムネスティ・インターナショナル日本は、山城さんの勾留が長期に及んでいることに強い懸念を表明する。山城さんは直ちに釈放されるべきである。

山城さんは2016年10月17日、沖縄県の米軍北部訓練場において、有刺鉄線を1本切ったとして器物損壊容疑で逮捕された。同20日に勾留が決定、同時に公務執行妨害と傷害の容疑で再逮捕された。現在、山城さんは、3つの罪で逮捕・起訴されている。当局は、軽微な犯罪での逮捕・勾留・起訴を繰り返している。勾留のためには証拠隠滅の恐れがあるなど必要な要件はあるが、上記の罪の証拠に関して隠滅の可能性は極めて低く、その他の要件についても該当する理由はない。国際人権基準は、公判前に釈放することを前提としており、このような拘禁は身体の自由への侵害である。

さらに、山城さんは、家族とも面会できない状態が続いている。被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラルール)は、定期的に家族および友人の訪問を受けることが許されなければならないとしている(58条1項)。山城さんは、2015年の大病からは回復したものの体調が心配されており、家族の訪問は保障されるべきである。

山城さんは、沖縄における米軍基地反対運動のリーダーとして、政治信条に基づいて長年にわたって活動してきた。沖縄は、日本における米軍基地の7割が集中する地域であり、基地に関わる問題には、常に政治的な文脈が影響している。今回の逮捕と長期拘禁は、そうした影響の表れであって、日本政府による沖縄米軍基地反対運動の抑圧とも指摘されている。アムネスティ日本は、デモや座り込みを含む抗議行動を表現の自由として保障する義務を日本政府が負っていることを想起させ、山城さんの逮捕・拘禁が運動への委縮効果を生むおそれがあることに懸念を表明する。

国際社会は、政府による抑圧を防ぐため数々の努力を重ね、自由権規約や被拘禁者処遇最低基準規則、ならびに保護原則を作り上げてきた。日本政府は、こうした国際人権基準を遵守すべきである。

アムネスティは、表現、結社、集会の自由の権利を尊重し保障するよう日本政府に求めるとともに、国際人権基準に則って山城さんを速やかに釈放するよう検察当局に強く求める。また、アムネスティは、山城さんが釈放されるまでの間に家族に会えること、必要な医療を受けることができることを求め、国際的な行動を展開する。

以上
アムネスティ・インターナショナル日本
2017年1月27日