9月17・18日、福祉保育労は第32回定期大会を開催し、憲法をめぐる危機を踏まえて、特別アピールを採択しました。
 
 特別アピールの全文は、以下のとおりです。
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特別アピール『憲法を守り活かして、平和な社会と福祉の充実を実現しよう!』
 国民に権利を保障するのが憲法です。ところが、安倍政権のもとで、政治権力をしばるという本来の役割が変質させられ、解釈が大きく変えられてきました。
戦争の放棄・平和主義を掲げた憲法9条があるにもかかわらず、昨年9月に強行成立した戦争法(安全保障関連法制)によって、戦争に加担し、自衛隊員が「殺し殺される」戦場におくられる危険性が高まっています。
 自民党は自らの憲法草案が示すように、条文を根本的に変えようとしています。9条に国防軍の創設を掲げてこれまでの平和主義を転換するほか、24条では「家族は、互いに助け合わなければならない」とするなど自助・共助路線をむき出しにしています。基本的人権を抑制し、国民に義務と責任を負わせる姿勢です。その改憲の手始めとして、震災対応などの際に首相に権力を集中させ、基本的人権を制限する緊急事態事項を盛り込もうとしています。
 憲法25条は、健康で文化的な生活を営む権利を国民に保障し、国は社会福祉の増進に責任を持つ義務があるとしています。しかし、福祉施設は足りず、待機児・待機者が増加しています。必要な福祉を受けられないことで、家族の負担が重くなり、離職を余儀なくされる人も増えています。心中などの痛ましい事件もあとをたちません。社会的な弱者を排除したり、貧困に苦しむ人を追い込んだりするような風潮も広がっています。また、福祉を現場で担う私たちも、劣悪な労働環境におかれています。福祉予算を抑制し、低賃金・非正規化をすすめてきた国は、社会福祉に対する義務と責任を果たしていません。
 憲法は変えない方がいいという世論が多数にもかかわらず、憲法を変えたいとする国会議員は衆議院・参議院で改正発議に必要な3分の2を超えています。この危機を前にして、私たちの生活と憲法との関係を見つめ直す必要があります。
 私たち国民が持つ権利は憲法が保障しています。
 健康で文化的な生活をおくる。幸せを追求する。労働条件を守る。労働組合をつくる。
 団体交渉をする。ストライキを打つ。署名をして請願する。選挙に行く。
戦争はしないという平和主義、福祉の増進義務も、憲法が国に対して規定しています。
 憲法12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」としています。国民の権利を保障する福祉職場で働く専門職として、また一人の有権者として、憲法を不断の努力で守り活かして、平和な社会と福祉の充実を実現させましょう。
2016年9月18日
全国福祉保育労働組合第32回定期全国大会
◇全国福祉保育労働組合第32回定期全国大会・特別アピールPDFファイル