医療観察法廃止!全国集会 

精神科医の高木俊介さんの報告では、人口減少、疾病構造の変化( 軽症化) のため日本の精神病院は減少せざるをえない、 しかしそれは社会経済構造等の変化によるもので、 決して障害者運動の成果ではないとの事でした。
  
アウトリーチ(訪問支援)
知的障害福祉の分野ではまだなじみの薄い用語です。
厚労省のアウトリーチ推進事業は、 未治療、医療中断にある地域の精神障害者への多職種チームによるアウトリーチです。都道府県が実施し、民間医療機関等への委託も可能となっています。
 
全国「精神病」者集団のアウトリーチ弾劾声明http:// www.jngmdp.org/category/ announcementにあるように、それは地域の精神障害当事者自身の意向を無視した、専門家チームによる一方的な介入になってしまう恐れがあると思います。
 
なかには「介入してくれて助かった」という地域で孤立していた当事者もいるかもしれません。また、地域福祉・医療を、「サービス供給者」と「受益者」という二者間の契約関係だけで解釈してしまうと、契約できない人が福祉サービスから取り残されてしまうことにもなるでしょう。すでに介護保険の分野ではそういう事態が起こっているようです。
 
しかし、この事業が当事者のためになるのか一番疑わしい部分は、「問題解決を入院という形に頼らない」と言いながらも、 アウトリーチチームによる支援終了が支援対象者が入院、施設入所した場合とされているところだと思います。入院させて終わりというのなら、チームの支援は本当に地域の精神障害者狩りになってしまうのではないでしょうか?訪問系の医療サービス、相談支援事業所等の地域の社会資源は、当事者の地域生活のためにあるはず。病院の空きベッド解消のために機能するとしたら、その存在意義は根本からひっくり返ってしまいます。
 
精神病院の将来的な経営危機を背景にした事業ならば、地域生活の支援という事業の目的は、実施の過程で変質していくのではないでしょうか?
 支援対象者は認知症、統合失調症、妄想性障害、気分障害ですが、未治療である以上疑いを含むので知的障害や発達障害圏の人もその対象になる恐れもあります。知的分野に働く私たちにも無関係ではありません。
 
医療観察法自体よりも、その周辺の報告、議論が多かったのですが、色々と考えさせられた集会でした。                                                                                                                      2011.11.28 (林)