日本知的障害者福祉協会の団体交渉に参加して
その1
去る2月7日、南部労組・福祉協会の第5回団体交渉に書記としてオブザーバー参加しました。その報告と感想です。
〈オブザーバー参加した理由〉
なにより、戦前から続く知的障害者福祉団体のオピニオンリーダー的な存在である日本知的障害者協会が36協定未締結だったことを南部労組・福祉協会の情宣活動で知り、大変驚いたからです。日の出福祉園は福祉協会機関誌「さぽーと」を9部も取っており、毎月各部署に配布しています。私たちの仕事に大切な記事が載っているこの「さぽーと」は、このなんくるブログの書評欄にも何度も取り上げてきました。この「さぽーと」と「手をつなぐ」(全国手をつなぐ育成会連合会)を一年間ていねいに読めば、相当勉強になります。また日の出福祉園には、日本知的障害者福祉協会が主催している知的障害者援助専門員の通信教育を修めた職員もいます。福祉業界は異業種からの転職者がたくさんいますが、そういった方が社会福祉を学ぶために、日本知的障害者福祉協会の役割はとても大きいのです。その福祉協会が36協定未締結、労働者代表も民主的手続きで選出せず。痛ましい電通過労自殺事件以降、「36協定」「残業時間上限規制」などの言葉がさかんにマスコミに取り上げられています。一年前、日の出福祉園では私たちの同僚職員が業務中に脳血管疾患を発症し数日後に亡くなるという悲しい事件がありました。中堅リーダーだったその職員の働き方は、誰が見ても過重なものでした。日本知的障害者福祉協会は過重労働の福祉業界の体質を変えていくために、率先垂範の社会的役割と責任があるのです。
〈団交の感想〉
まず、福祉協会事務局以外の場所で団体交渉が開催されていることが驚きでした。社会福祉法人同愛会とゆにおん同愛会の団体交渉が、どこかのビルの会議室を借りて開催されることはありません。そんなことがあれば、「その会場費支出は無駄じゃないのか?合理的根拠は?」と私たち組合の格好の攻撃材料となってしまいます。法人は交渉以前の段階でそんなトラブルを自ら招くようなことをわざわざしないし、それが真っ当な経営判断でしょう。私には、福祉協会側がわざわざ他のビルの会議室を借りてまで福祉協会内で団体交渉を開催しない理由が分かりません。当たり前ですが、南部労組・福祉協会は福祉協会と無関係な外部の団体ではなく、福祉協会事務局職員で構成されています。これでは福祉協会が労働組合を忌避して誠実に交渉に応じない姿勢を、世間に印象付けてしまうのではないでしょうか。
二つ目に思ったのは、福祉協会が36協定未締結や労働者代表選出におけるこれまでの間違いや不備を労働組合が指摘した事実を職員に周知しないのは、福祉協会が対等な労使関係を構築しようという姿勢に欠けているのでないかということです。事実経過を明らかにしないということは、労組以外の職員に対しても説明責任を果たさないことになると思います。かつての日の出福祉園も同様でした。移動支援、重度訪問介護不正請求の頃、当時の施設長は「自分がおかしいと思って調べさせて発覚した。組合の指摘とたまたま時期が重なっただけだ。」と団交の席でも発言するような人物でした。その施設長は虐待事件の隠蔽で更迭され、現在の日の出福祉園では、「『組合からの指摘によって』、『組合との話し合いの結果』、○○することになりました。」と現施設長から事実関係が正確に園内メールで周知されます。無用な労使対立を避けるためには、使用者側は労組からの指摘には丁寧かつ誠実に対応することが大切です。(林)