私たちが基本的人権を制限される場合はどんな場合でしょうか。
参政権は刑法や公職選挙法での刑罰で制限されます。禁固刑ならもちろん人身の自由は制限されます。刑罰以外には、かつて心神喪失者に対する禁治産制度がありました。心神喪失者に「財産を治めることを禁じ」たこの制度は、家族や家の財産の保護のためには有効であったのかもしれませんが、当人は無能力者として選挙権も剥奪されていました。これは1999年に成年後見制度へと変わりましたが、被後見の場合は以前の禁治産者同様に参政権が剥奪されてしまいます。
選挙権剥奪は不当だと、その回復を求めて知的障害者が裁判に訴え、「手をつなぐ」にも紹介されているように育成会や関係団体が公選法改正を求めて運動を行っています。
言うまでもなく基本的人権は近代国家の大切な原理です。それが憲法で明文化されていなければ、前近代的な国家だと見なされてしまいます。日本国憲法でも明文化されていますが、だからといって憲法で自動的に守られているのではなく、「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」(日本国憲法 第12条)とされています。
基本的人権の保障は、出自、血筋、家柄などによる制限や格差があってはいけません。そんな差別があるならば、そんな差別社会は福祉社会とは言えません。私たちは不断の努力で差別を許してはいけません。 (ジジ)