手をつなぐ2021.8
ヤングケアラー問題を知っていますか?
手をつなぐ 2021.8月
全国手をつなぐ育成会連合会

「手をつなぐ」には兄弟姉妹への支援についての特集はありましたが、ヤングケアラーとして取り上げられたのは初めてではないでしょうか。社会の構造的な問題によってケアラーとならざるをえない子どもの問題は、地域福祉、地域医療、労働問題、貧困や生活困窮など、従来の家族支援の範疇よりも幅広い社会的視野が求められるでしょう。体調不良の親を心配する障害を持つ子どもへの支援についての報告もあります。またヤングケアラーへの支援が制度化されていない現状に対して具体的な支援策を提示する論文、ヤングケアラー問題を児童労働問題としてとらえる論文も掲載されています。

知的障害福祉研究と銘打った日本知的障害者福祉協会機関誌「さぽーと」のように、主に入所施設を中心とした支援者側の立場から知的障害福祉を考えるのとは逆に、社会全体から主に知的障害を持つ人の生活や問題を考える「手をつなぐ」の方が、知的障害者が置かれた状況の問題の本質に迫っていると思います。いったい、専門性って何だろうと考えさせられます。専門タコつぼという言葉がありますが、つぼにはまり込んだら周りは見えません。特に入所施設で働く私たちは、目の前の利用者さんしか見ないようでは社会福祉の仕事はできません。

同愛会東京事業本部の「東京一幸せなるよりどころ」というスローガンなどソーシャルワークの観点からすれば論外なのです。「手をつなぐ」の多様な視点に学ばされます。(林)

8.22 ヤングケアラー1
8.22 ヤングケアラー2