~これまでのまとめとこれからを考える~
今回は研究会の今後のあり方を考える内容でした。初めに会のこれまでの取り組みが紹介されました。11回目から参加した私は、学習会や講演会など多様な活動が積み重ねられていたことに驚かされました。また、この研究会の出発点が弁護士と社会復帰調整官による医療観察法の勉強会だったことを知りました。
触法障害者支援を考えるのであれば、医療観察法の問題を知り考えなければいけません。医療観察法の問題をネグレクトした「触法障害者支援」ではいけません。支援者側が医療観察法のことを知らなければ、入口支援において、不起訴処分を目的に医療観察法への申立てを支援者側が期待することにもなりかねません。そして、触法障害者支援の問題は障害者のみならず、健常者も含めた刑務所での処遇や社会復帰など、刑事司法制度そのものを考えていくことが必要になってくるでしょう。取調べの全面可視化が実現しないこと、司法取引で密告が起こりうることなど、冤罪発生の可能性が高まると指摘されている刑事訴訟法「改正」案に見るように、障害者の刑事司法の問題は、障害があろうがなかろうが全ての人に関わってくる問題です。
それにしても、こういった会が有志の研究会という形でしかないことは、支援ネットワークの構築という意味では不利な条件ではないでしょうか。各地域の自立支援協議会で触法障害者支援部会ができ、さらに自治体横断的な部会の連絡会ができ、それがこの研究会も入った形になればいいと思い、自立支援協議会へ働きかけができないのかと提案させてもらいました。
また専門家だけで議論するのではなく障害当事者の意見を聞くため、また会の出発点である医療観察法の問題を押さえておくためにも、年2回開催されている医療観察法廃止全国集会へ研究会から参加することを提案しました。
さぽーと最新号の特集は軽度知的障害者の支援です。触法障害者支援について、医療観察法について、刑事訴訟法について関心を持って学んでいきましょう。社会に目を向けずに触法障害者支援を語る同愛会東京事業本部は論外です。私たちがこの仕事を選んだ以上、目の前の利用者さんのことと同様、しっかり目を向けて考えるべきことが社会にはたくさんあります。(林)